金沢大学<グローバル>スタンダード(KUGS)の解説

[学士課程版]

金沢大学<グローバル>スタンダード(KUGS)は,地域と国際,自己と他者,過去と未来,そして人間とテクノロジーの関係性という新たな軸から自らが生きる社会を考察し,多文化共生社会の実現に向けて新たな価値を創造し表現?発信できる強靭な人材を育成するための指針として、以下の4つで構成している。

スタンダード1.人とつながる?共生する:
自国の文化や歴史を深く理解しつつ,積極的に世界とつながり,異文化を受け入れて多様な人々と協力しながら,個人および地域?国際社会の健康と発展に貢献する能力を身につける

 スタンダード1が述べているのは,他者と共生する能力である。グローバル化の進展により,国境を越えた他者とのつながりが身近になっていることは言うまでもない。文化の違いとは,国や地域の違いだけを指すのではなく,考え方,感じ方,行動パターンが異なることを意味する。つまり,私たちはそれぞれ異なる文化を持っている。いま求められるのは,私たちの多様な文化をお互いに理解し認め合ったうえで共存?共生することが可能な社会である。

 このような社会をつくるためには,まず私たちそれぞれが自分の国の歴史や文化を理解しなければならない。さらに国際協力関係?地域協力関係?ジェンダーやマイノリティーに関することなど,多文化との関わりについて知識を深める必要がある。そのような知識から,異なる在り方に対して共感性をはぐくむことができ,その知識と共感性をもって積極的に世界と協力することで,すべての人々にとって健康な社会を実現できるだろう。

 スタンダード1の能力を身につけることで,私たちは自文化を自覚し,他者との違いを理解し受け入れながら,多様性を尊重する豊かな社会の創成に貢献することができる。

スタンダード2.自己を探究する?超越する:
自己を知り,自己の可能性に挑戦することで心身の豊かな成長を目指す。確かな論理力と豊かな表現力を駆使して他者と共感的に関わり,互いの感性,価値観,アイディアを表現し,伝え合う能力を身につける

 スタンダード2が述べているのは,自己の心と身体の在り方を知り,自己の可能性に挑戦する能力である。自己の成長を目指すためには,まず,自分の能力や,考え?価値観について認識しなければならない。同時に,個人の成長は,他者との関わりによって実現されるものである。私たちは,それぞれが持つユニークな感性,アイディア,価値観などを表現し伝え合うことで,互いに自己を探究し超越することができる。

 個人が自分の個性を認識するためには,まず哲学,認知科学といった学問や運動?スポーツの実践を通して人間がもつ可能性や課題を多角的に理解することが必要である。その理解があってこそ,それらの可能性や課題にどのように対峙するのかを決めることができる。また,他者とともに成長していくために,コミュニケーション学や文学を学び,芸術的感性を養いながら,互いを尊重した相互関係を築くコニュミケーション能力を体験的に身につけていくことが重要である。適切な自己認識と卓越した表現力を備えた人々が互いに高めあうことで,可能性に挑戦する社会をつくることができるだろう。

 スタンダード2の能力を身につけることで,私たちは自己を知り,自分の考えを明確に表現し,互いに伝えながら人と社会の可能性に挑戦することができる。

スタンダード3.今を知る?未来を考える:
科学技術の動向,自然環境変動,持続可能性などの多角的視座から,地球と人類,国際社会と日本の未来を総合的に予測し,未来の課題に取り組んでいく能力を身につける

 スタンダード3が述べているのは,現代社会の状況を正確に把握し,課題を見極め,その解決に向けて主体的に行動する能力である。世界では,地球温暖化や新型感染症,国際的な格差の拡大といった地球規模の課題が深刻さを増している。世界全体が急速な変化の中にあるため,未来を見通すことは容易ではない。このような予測が難しい時代では,科学的な知見を結集し,さまざまな危機に対処することが求められる。?

 未来の課題に対処するには,現状を的確に分析し,未来を予測するための科学的手法や知識を活用する力を身につける必要がある。さらに重要なのは,多様な課題に対処するため,特定の分野に偏らず,生物学,社会学,地学,環境学,健康?スポーツ科学といった多角的な視座から,最新の技術や新しい発想を取り入れることである。これにより,未来の可能性をより明確に描き,イノベーションを創出することができる。

 スタンダード3の能力を身につけることで,私たちは複雑で不確実な時代において,地球と人類の未来を多角的に見据え,直面する課題の解決に向けて積極的に挑戦することができる。

スタンダード4.新たな価値を創造する:
STEAM教育を基盤とし,データの的確な理解と思考の論理的構成を通して社会の課題を俯瞰し,豊富な想像力と果敢に挑戦するマインドを持って新たな価値を創造していくための能力を身につける

 スタンダード4が述べているのは,人工知能(AI)やロボットが一般化し,大量のデータが活用されるSociety 5.0の時代を生きるための能力である。テクノロジーの発達は産業構造や働き方の急激な変化をもたらしている。このような変化に適応するために,私たちはテクノロジーを上手く利用しながら,人間しか持たない能力を強化し,多くの人が豊かさと幸せを実感できる新たな社会を創造していかなくてはならない。

 テクノロジーと人間がうまく共存?共生する新しい社会を創造するには,科学と工学の基礎的知識に基づいて課題解決のための新しいテクノロジーを生み出す応用科学的発想と,人間ならではの美の感覚や幸福を追究するデザイン思考の両方を併せ持つ必要がある。これらの思考?発想力は,AI/情報科学,論理学,物理?化学?数学,統計学,デザイン学といった学問を学ぶことで養われる。このような多様な専門知を用いて現代社会が抱える課題を俯瞰し,発想力を駆使して解決策を見出そうとする挑戦的なマインドを養うことで,新しい豊かな社会を創造し開拓していくことができる。

 スタンダード4の能力を身につけることで,私たちは現代社会の問題を俯瞰して論理的に把握し,多様な専門知を融合させることで解決策を見出し,新たな価値の創造に貢献できるようになる。

 

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