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金沢大学国際基幹教育院外国語教育部門
特任准教授

マーク?ハモンド さん

今年度から、約300科目あった共通教育科目は「金沢大学<グローバル>スタンダード(KUGS)」に基づく30科目のGS科目に集約されました。また、従来の英語科目は「GS言語科目」となり、より実践的な英語力を身に付けるための授業にカリキュラムを見直しました。「GS言語科目」を担当する国際基幹教育院外国語教育部門において、昨年度本学に着任されたマーク?ハモンド特任准教授(アメリカ出身)にお話を伺いました。

 

-日本に来たきっかけは何ですか?

1980年代、エンジニアだった父が、東京にある日本の会社とのプロジェクトに関わっていました。なので、父が見せてくれた写真や、日本について話してくれたことを通して日本のことを知り、いつか訪れたいと思っていました。

それから時が経ち、私はアメリカのピッツバーグにあるデュケイン大学でコミュニケーションを専攻しました。ジャーナリズムに興味があって、テレビのニュース番組に関わる仕事がしたかったんです。卒業後、フリーでテレビ番組やコマーシャルのアシスタントとして働き始めて、クリエイティブな仕事をしている人たちから彼らのプロジェクトのお手伝いを依頼されることが多くなりました。そのような中で、芸術写真に関心を抱くようになりました。

そこで、東京は写真を撮るのに最高な場所なのではないかと思い、1992年、26歳の時、お金を貯めてついに東京にやって来ました。当初は、写真を撮りながら2、3ヶ月滞在しようと思っていたのですが、日本に来て1週間後に英会話学校での仕事を見つけました。ちょっとしたアルバイトのつもりだったのですが、その学校の金沢校のマネージャーにならないかと言われました。金沢がどこにあるかさえ知らなかったのですが、なんだか良いチャンスのような気がして、引き受けることにしました。それから24年間、ずっと金沢にいます。

-もともとは写真を撮るために来日したとはびっくりです。

英語を教え始めたことでキャリアパスが変わりました。金沢に来て数年後、金沢美術工芸大学の教員と知り合い、そこで非常勤講師として英語を教えることになりました。このことがきっかけで、再びクリエイティブ関連の人々と接することになり、何度か写真展を開いたり、金沢の写真集を出版したりしました。私の写真がワシントンD.Cにあるスミソニアン?アメリカ美術館の常設展示品になるという幸運にも恵まれました。

その後、金沢大学も含め、他の学校でも非常勤講師として働くようになり、イギリスのバーミンガム大学の通信教育コースでTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)の修士号を取りました。そして昨年から、金沢大学の常勤教員として勤務し、主にGS言語科目の「TOEIC準備」と「EAP (English for Academic Purposes)」を担当しています。また、日本の伝統工芸に対する英語の需要についての研究が科研費に採択され、研究にも取り組んでいます。なので、今は言語教育と芸術を結びつけることができており、とても幸運に感じています。

-これまでの様々なご経験が集約されたのですね。
さて、金沢大学では今年の4月に大規模な教育改革を行いました。主なものは、クォーター制の導入と、GS科目の開講です。第2クォーターが終了したところですが、いかがでしょうか?

クォーター制の良い点は、授業にあまり支障をきたさずに留学に行く機会が増えることです。また、より多くの科目を履修し、より多くの教員と出会うことができます。しかしながら、8週間生徒と教員の信頼関係を築くのには少し短いかもしれません。そのうち1、2週間がテスト等に使われてしまいますからね。あとは、履修登録と成績報告の回数が倍になりましたが、森林舞会_pt老虎机游戏-【亚洲最大娱乐平台】@が協力して対応しています。イノベーションや変革は簡単なことではありません。この教育改革は始まったばかりです。私はそれを柔軟に受け入れていますし、クォーター制が上手くいくことを望んでいます。

-先生は、「GS言語科目」として新しく開講した「TOEIC準備」と「EAP」を担当されていますが、従来の英語科目の違いはどういう点ですか?

「GS言語科目」では、より具体的な学習成果が決められており、全教員が基準となるテキストとシラバスに基づいて授業を計画し、評価方法も基準が決められています。これによって、新カリキュラムのゴールに向かって教員一丸となって取り組んでいることを再確認できます。また、「TOEIC準備」は期末試験も統一のものを使うので、試験問題の作成に要する時間を、授業の進め方をより良くする方法を考えることに充てています。

-これら二つの科目によって、学生はどのようなスキルを身に付けることができるのでしょうか?

「TOEIC準備」はTOEICテストに慣れて、良いスコアが取れるようにする手助けをします。TOEICのスコアは学生の将来にとって重要ですからね。それとともに、リスニング、リーディング、ボキャブラリーといった基本的な能力も強化できます。「EAP」では大学レベルの基礎的なライティング能力とプレゼンの作成?発表に重点を置いています。第3、第4クォーターでは、それらの能力を発展させて、社会問題やアカデミックなトピックについての異なる視点を比較することによって、クリティカルシンキング力を身に付けることを目指しています。

-英語力向上のためのアドバイスは何かありますか?

いろいろな学校で英語を教えた経験がありますが、金沢大学の学生は概して真面目で、宿題もきちんとやってきます。ただ、授業中に積極的に発言する学生があまり多くないので、 “アクティブ?ラーニング”の姿勢で授業に参加することが、英語能力の向上につながると思います。例えば、授業後ではなく授業中に質問する、教員の質問に対してたとえ間違っていたとしても自信を持って答える、というようなことです。

授業外では、自分が楽しむために英語を読むことがとても重要だと思います。小説、雑誌、ニュース記事、ブログ、マンガ、何でもいいです。自分のレベルよりちょっと難しいものに挑戦して、それを続けてほしいです。

-自分の好きなことについて読むのなら、無理なく続けられそうですね。
本学では日本人学生の海外派遣も強く推奨しています。これについてはどう思われますか?

学生には是非海外に行ってほしいと思います。私も留学のような経験がいくつかありますが、海外での経験は、世界に対する私の意見や視点を形作る際に大きく影響を及ぼしました。一つ目は、高校生の時ラグビーをやっていたのですが、その頃アメリカの高校でラグビーをやるのが非常に珍しかったこともあり、国際トーナメントに招待されイングランドに行ったことです。2週間の遠征の間、ラグビーをすることよりも異文化に身を置くことに何よりわくわくしました。それから旅行が好きになり、約20か国に訪れました。二つ目は、30代になってから、イタリアで2週間の写真のワークショップに参加したことです。写真を勉強することが目的ではありましたが、ある程度の期間同じ場所に滞在して友人をつくることの素晴らしさを知ったことが私を大きく変えました。私のイタリア語は本当に拙くて恥ずかしかったけれど、がんばってコミュニケーションを取ろうとすれば、みんな優しく接してくれました。それから5年間、毎年夏にその小さな村を訪れたのですが、多くの人々が自分のことを覚えていてくれて、とても感激しました。

私の経験はどちらもアカデミックなものではありません。金沢大学の学生のように語学研修などのアカデミックなプログラムに参加できれば良かったのですが、残念ながら機会に恵まれませんでした。一方で、例えば金沢大学のアメリカンフットボール部のメンバーがアメリカの協定校を訪れて、そこのアメリカンフットボール部と交流するといった、課外活動をメインにしたプログラムなどがあっても良いと思います。

-それは面白そうですね。それなら、英語力に自身のない学生でも参加しやすいかもしれません。

ちなみに、留学などで海外に行ったときは、テレビを見ることをお勧めします。私も日本に来たばかりの頃は、テレビをたくさん見ました。テレビで聞いた流行りのギャグを言うと、みんな笑ってくれて、そこから会話が始まりました。テレビ、今ならYoutubeなどのエンターテイメントは最新のポップカルチャーを知ることが出来るので、会話のネタを探すのにうってつけだし、友達を作るのにも一役買ってくれます。

-最後に学生に向けて、これからグローバル社会で活躍する人材になるために、必要なことは何だと思いますか?

強いリーダーには共通した特徴があると思っています。一つ目は、困難な時でも全力で、集中して取り組むということです。彼らは確固たるビジョンを持ち、常にそこに向かっています。二つ目は、良い聞き手であり、命令することよりも考えを共有することを好むということ、つまりいつも前向きで友好的ということです。三つ目は、相手の地位などに関わらずすべての人に尊厳と敬意をもって接するということです。彼らは組織に対して貢献してくれる人々を評価し、感謝しています。

最後に、もうひとつ。学生には廊下や食堂で私に会ったら挨拶したり、会話したりしてほしいと思います。学生に「Hi!」と声をかけても反応がないと、ちょっと寂しい気持ちになってしまうので。グローバル人材への第一歩は、誰とでもフレンドリーに話すことですよ!

(2016年8月取材)

 

  • マーク先生の作品です。(西茶屋街にて)

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