私は2014年9月から2015年6月まで、ロシアのカザン大学へ１０ヶ月間の派遣留学をしていました。カザン大学は、モスクワの800km東に位置し、ヴォルガ川に面する都市です。カザン大学では文学部の留学生のためのクラスに所属していました。また国際関係学部の授業も聴講し、異文化理論やロシアメディア文化論について学んでいました。ロシア語は文字から発音まで日本人には慣れないものばかりで難しい言語だと言われています。わたしもロシアに着いたころは全くわからず、悔しくて涙をのんだことも数知れません。しかし、たくさんの温かい先生や寮のルームメイトだった友達に助けてもらいながら授業や課題にまじめに取り組み、いろいろな人と接することで、帰る頃にはすっかりロシアに馴染んでいました。私はドイツ人とフランス人の女の子たちと寮の一つの部屋で暮らしていました。文化の違いに戸惑い理解し合えないこともありましたが、辛いときも楽しいときも時間を共有でき、今では本当に大事な家族のような存在です。

カザンには、日本人がとても少なかったため、日本人の代表であるという意識を持ちながら、たくさんの人と関わってきました。また幼いころから続けてきた合気道を通してロシアの至る所へ稽古をしにいき、交流をしてきました。そこで日本の文化を愛している人々に出逢いました。留学を通して、このグローバルな世界に必要な能力とは、自分が日本人であることを自覚し、誇りを持って接すると同時に、相手の国を理解し尊重することであり、その意識があればたとえ文化や言葉が違っても世界中の人と素敵な関係が築けるということを知りました。

世界は私たちが思っているよりももっともっと広く、想像を超えた自然、文化、考え方と触れることで、自分の価値観を無限に拡大することができます。その価値観はきっとこの先の人生に大きな影響を及ぼすことと思います。また、幸いなことに金沢大学の派遣留学支援制度はどの大学と比べても充実したものであると思います。留学を考えているみなさん、行ってみたいと少しでも思うならぜひその気持ちを大事にしてください。

ハロウィンで友人たちと仮装パーティー

 

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（掲載日：2015年10月16日）