金沢大学は,文部科学省「オープンアクセス加速化事業(人工知能等社会実装研究拠点事業補助金)」に福井大学および金沢医科大学を連携機関として申請し,採択されました。
オープンサイエンスとは,研究者のような専門家だけでなく非専門家であっても,あらゆる人々が学術的研究や調査の成果などにアクセスし,共有することで研究活動の加速化や新たな知識の創造などを促す取り組みです。
我が国における日本の学術論文などのオープンアクセス政策として,「公的資金によって生み出された論文や研究データなどの研究成果は国民に広く還元されるべき」とする一方,日本の研究者の研究成果は,研究活動が国際的である上に,近年海外出版社の寡占化が進み,さらに,円安も相まってデジタル輸入超過となっており,この問題は学術分野でも深刻化しています。
本事業は,海外勢への対抗策として,我が国の大学の研究者が著者である論文について,国内出版社は元より,海外出版社から発行される場合についても,オープンアクセス化するために各大学の文献保管庫(機関リポジトリ)を充実させ,特に公的機関からの補助金に基づいた研究成果を速やかに読めるようにすることも意図するもので,今回93件の申請があり,金沢大学を含め83件が採択されました。
本学は,2018年にオープンアクセス方針を制定し,本学の研究成果を「金沢大学学術情報リポジトリ※」に登録,公開に努めてきました。2022年には, 我が国で5番目の研究データ管理ポリシーとなる「金沢大学学術データマネジメントポリシー」を策定し,コアファシリティ構築支援プログラム と連携したGakuNin RDMの試行を進め,金沢大学モデルの確立と展開を目指してきました。
金沢大学モデルの特徴は,文理医融合を進める上で不可欠な機微な研究データの公開?保存に大学が責任を持ち,分野ごとのオープン?クローズ戦略に対応可能な実効性のある学術データマネジメントポリシーに基づく,加速的なオープンアクセス推進にあります。本事業により,オープンサイエンスを北陸地区三大学共同で推進し,オープンアクセス加速化特区の形成を目指すとともに,全国の様々な機能を有する多様な大学への応用展開を進めていきます。