令和7年度 金沢大学学位記?修了証書授与式 学長告辞

掲載日:2026-3-19
学長メッセージ
  • 4. 質の高い教育をみんなに
  • 17. パートナーシップで目標を達成しよう

 本日ここに令和7年度学位記?修了証書授与式を挙行できますことをよろこばしく思います。卒業生、修了生の皆さん、誠におめでとうございます。皆さんは金沢大学で学び、研鑽をつみ、本日晴れて学位記あるいは修了証書を手にしました。心からの祝意を表します。ご臨席のご家族の皆様にも、お慶びを申し上げます。あわせてこれまでのご理解とご支援に対して感謝を申し上げます。

 皆さんの多くは新型コロナウィルス感染症の拡大した時期に高校時代を過ごし、感染対策をしながら大学受験に臨みました。金沢大学に入学後、コロナ禍に伴うオンライン講義など学業スタイルの変化のなかで大学生活が始まりました。次第に日常が戻るなか、令和6年元日に能登半島地震、令和6年9月には奥能登豪雨に直面しました。さらには、AIやデジタル技術など科学技術の目覚ましい進歩のなか、社会の変革が加速し、キャンパス生活が大きく変化しました。こうした状況にあって、皆さんが学問の本筋を忘れることなく、人間力を高め、学びを継続し、学識を深めていったことに心からの敬意を表します。本学での学生生活を通じて、ご家族、恩師ならびに志をともにした友人、関わりがあった人々から温かい励ましやご支援があったことでしょう。今日は、ご指導をいただいた皆様に改めて感謝の気持ちを伝えるまたとない機会だと思います。

 令和6年能登半島地震から2年となりました。被災された方々が一日も早く元の生活に戻られ、被災地が復興?再建を遂げることをご祈念申し上げます。皆さんは能登半島地震の復旧?復興過程で、少子?超高齢社会の進展、コミュニティ、社会インフラ、なりわいなどにおける複合的な社会課題を目の当たりにしてきたことでしょう。さらに、国内では少子化?労働力不足、地震、森林火災などの自然災害対策、物価高騰といった経済対策など克服すべき多くの課題があります。一方、国際的には経済?安全保障、紛争の拡大など懸念が顕在化しております。地球温暖化に象徴されるように、地球上の生き物が享受してきた豊かで持続可能な地球環境は、今や大きな危機に直面しております。本学での学びを通して、多くの社会課題の解決、克服には、分野の境界を超えた複合的な叡智、明確な理念や大義が重要であると理解できたと考えます。皆さんが学んだ金沢大学は「未来知」により社会に貢献することを未来ビジョンとして掲げております。「未来知」とは、現在、ならびに未来の課題を探求し、克服するための知恵です。未来の新たな価値を創造することにつながります。皆さんも金沢大学で多様性のある学びや体験を伴う思考とその実践を進めてきたと思います。このように皆さんが涵養してきた未来知は将来のかけがえのない財産になっていくはずです。社会構造や価値観が大きく様変わりしていく今こそ、常に自ら考え、実践する必要があります。そのためにも、多文化を理解する学びと寛容、共生する姿勢が重要です。金沢大学で学び、得られた「未来知」により、皆さんが国際社会の一員として、希望と明るさに満ち溢れる社会の実現に貢献することを心より願っております。

 

 これから皆さんは社会人、あるいは大学院生として、急速に変わりゆく社会に新たに船出します。それぞれが「志」を新たに立てる、あるいは再確認する絶好の機会です。そのために私から三つの言葉を餞としてお贈りしたいと思います。

 まず、第一は、「人として成長する」ことです。そのために、人との出会いを大切にすることです。人間力を磨くことにたゆまぬ努力を惜しまないことです。人は人から多くのことを学びます。熱意を持つ人との出会いは重要です。急成長を遂げるAI時代だからこそ、自分自身にしかできないことはなにか、人としてどのように成長するか、考える良い機会です。ぜひ、皆さんの前途に洋々と広がる未来において、巡り会う素晴らしい人の「考え方」、「知」、「情熱」に広く触れてください。偶然の出会いが、後から振り返ると必然の出会いであったことに気が付くこともあるでしょう。その出会いを通して得た生きる姿勢や考え方を活かし、自分自身の資質や能力を磨き続けてください。

 論語の一節に、「子曰く、詩に興(おこ)り、礼に立ち、楽(がく)に成る。」とあります。人が育っていく過程では、文化、芸術的な素養を得てこその完成であると理解されております。幸い、皆さんは世界の共創文化都市?金沢に立地する金沢大学でさまざまな素養を培いました。母校、金沢大学の卒業者、修了者、そして社会の一員としての自覚、誇りを持って成長してください。皆さんが人間力を磨き、人として大きく成長し、国内外のリーダーとして活躍することを心より期待します。

 第二は、「挑戦し続ける」ことです。

 皆さんが船出する実社会では、正解や模範解答は用意されていません。正解もひとつとは限りません。社会課題には、誰もが経験したことがない要素が多く含まれています。ひとつの分野、自分の専門だけでは解決、克服できないことも多くあります。目標の達成には、多面的なアプローチや熱意ある人々との良いチーム作りが必須です。そのうえで、失敗をも恐れずに様々な課題に果敢に挑戦し続けてください。課題を見出し、最適解を考え、課題を克服していくのは皆さん自身です。皆さんは総合大学ならではの様々な考え方をもつ学生、教員との出会い、その素晴らしさを享受したと思います。今後も複合的な視点、広い視野、高い視座をもち、全体像を俯瞰してください。人生の歩みのなかで、時としてさまざまに迷うこともあるでしょう。そのような場合、小さくてもよいのでまず第一歩を踏み出し、集中してみてください。まさに、着眼大局、着手小局です。そして、成功への夢、情熱を持ち続けてください。皆さんが、様々な課題に果敢に挑戦し続け、国内外の社会の発展に貢献していくことを心より願っています。

 第三は、「生涯にわたり学び続けること」です。たゆまぬ自己鍛錬を継続することです。

 皆さんには金沢大学での生活を糧に、いつまでも学び続けてほしいと願っております。論語の一節にも、「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや」とあります。学んだことを繰り返し実践し、身につけていくことの喜びがあります。生涯にわたる新たな学びが本日から始まります。希望を胸に、将来の大きな目標にむかって、ぜひたゆまぬ自己鍛錬を行ってください。理想をもって生涯にわたり考え、学び、未来をデザインし続けてください。齢を重ねても「自分と未来は変えられる」と私は信じています。皆さんが自身の「志」を立て、生涯において学び続け、各々の分野で広く世界で活躍することを心より願っております。

 改めまして、皆さんには生涯にわたり実りある幸せな人生を過ごしてほしいと思います。皆さんが「金沢大学ブランド人材」として、国内外の舞台で活躍し、社会に貢献されることを強く祈念し、告辞とします。

 本日は誠におめでとうございます。

令和8320

金沢大学長 和田 隆志

 

 

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