本日、令和6年度学位記?修了証書授与式を挙行できますことを誠によろこばしく思います。卒業生、修了生の皆さん、おめでとうございます。ご臨席のご家族の皆様にも、これまでのご理解とご支援に対して感謝するとともに、心よりお慶びを申し上げます。学業を修めるうえでご家族、恩師ならびに志をともにした友人、関わりがあった人々から温かいご指導や励ましがあったことでしょう。これまでのお力添えとお導きを改めて心に刻み、感謝をする良い機会です。
皆さんの多くは新型コロナウィルス感染症の拡大した時期に高校時代を過ごし、金沢大学に入学されました。特に令和3年度は本学でも入学宣誓式の縮小を余儀なくされました。その後もコロナ禍における社会変革を経験しながら、キャンパス生活を過ごしました。この間、昨年元日の令和6年能登半島地震、さらに、再建、復興への歩みを進める中での令和6年奥能登豪雨に直面しました。このような状況下でも、金沢大学での学び、研鑽をつみあげ、所期の目標を完遂し、晴れて学位記あるいは修了証書を手にしました。本学での学生生活を通じて、皆さんが人間力を高め、学びを継続し、学識を深めていったことに心からの敬意と祝意を表します。
令和6年は大災害に見舞われた1年でした。被災された方々は平穏な日常にはいまだ程遠く、尋常ならざる事態が続いております。改めて、亡くなられた方々に哀悼の意を表し、被災された全ての方々に、衷心よりお見舞いを申し上げます。被害を受けられた皆様のご回復と被災地の1日も早い再建、復興を心よりお祈り申し上げます。今後、被災地の再建、復興には大きな理念のもと、持続可能性を考慮した息の長い取り組みが必要です。現在、石川県では石川県創造的復興プランが策定され、その道筋も示されています。そのなかで被災地にある森林舞会_pt老虎机游戏-【亚洲最大娱乐平台】@、総合研究大学として被災地に寄り添い、アカデミアとして貢献できることを考え続けています。能登が有している本質的な価値を守りながら、そこに新たな価値を付加していきたいと考えております。まさに不易流行です。この理念のもと、「能登里山里海未来創造センター」を本学内に設置しました。幅広い専門性と多様な叡智を生かし、被災地に心をあわせ、雲外蒼天を信じ、震災からの再建、復興にも全力で取り組んでいます。今後も総合研究大学として地域?世界に貢献していく所存です。皆さんも能登に思いをはせ、被災地の再建、復興、持続的な発展に関心を持ち続けて欲しいと思います。
国際的には国や地域間、さらにそれぞれの国内で憂慮すべき分断と対立が顕在化しております。地球上の生き物が享受してきた豊かな地球環境は、今や危機に直面しております。エネルギー、経済安全保障など多くの分野で喫緊の課題も山積しております。ロシアのウクライナ侵攻は3年が経過しました。我々は急速に変化するグローバル社会の一員として、自分ならなにができるか、常に問い、考えうる解決策を実践し続ける必要があります。そのためにも、多文化を理解する学びと寛容、共生する姿勢が重要です。皆さんが国際社会の一員として、様々な対立や分断を乗り越え、希望と明るさに満ち溢れる社会に貢献することを心より願っております。
金沢大学は「未来知」により社会に貢献することを掲げています。「未来知」とは、現在、ならびに未来の課題を探求し、克服するための知恵です。未来の価値を創造することにつながります。金沢大学は国際的な研究大学というあるべき姿にむけて、大学の総合力を一層向上させております。皆さんは超高齢社会?少子化、コミュニティ、社会インフラ、なりわいなど複合的な社会課題を目の当たりにしてきました。社会課題の解決、克服には、理念や大義、人の叡智などを掛け合わることが必然であり、重要であることが理解できたことでしょう。さらに、金沢大学での多様性のある学びや活動は、その理解を後押ししてくれたのではないでしょうか。このように実体験を伴う思考とそれに基づく実践は将来のかけがえのない財産、道標になっていくはずです。今後も様々な課題の克服に向けて、常に自ら探求し、活動を継続することはとても重要です。社会構造や価値観が大きく様変わりしている今こそ、金沢大学で学び、得られた「未来知」により、未来の日本、世界の新たな社会を築いてください。皆さんが未来の社会を力強く担っていくことを確信しています。
皆さんは社会人、あるいは大学院生としての新たな生活が始まります。それぞれが「志」を新たに立てる、あるいは再確認する絶好の機会です。江戸時代の長州、現在の山口県で松下村塾を主宰した吉田松陰の言葉に「志を立てて以て万事の源と為す」とあります。教育者として、すべての実践は志を立てることから始まると伝えたかったとされております。金沢大学では、令和4年5月に金沢大学未来ビジョン『志』を示しております。金沢大学憲章に掲げる基本理念に立脚し、オール金沢大学で「未来知」により社会に貢献する、という「志」です。母校での学びを胸に刻み、金沢大学の卒業者、修了者として、誇りと自信をもって躍動的に夢や目標に向かい、各々の分野で広く世界で飛躍してください。
これから皆さんは急速に変革する社会に船出します。そのために私から3つの言葉を餞としてお贈りしたいと思います。
まず、第一は、「人として成長する」ことです。そのために、人との出会いを大切にし、人間力を磨くことにたゆまぬ努力を惜しまないことです。
人は人から多くのことを学びます。熱意を持つ人との出会いは重要です。皆さんの前途に洋々と広がる未来において、巡り会う素晴らしい人の「考え方」、「知」、「情熱」に広く触れてください。偶然の出会いが、後から振り返ると必然の出会いであったことに気が付くこともあるでしょう。ぜひ、様々な方と誠実にコミュニケーションをとってみてください。そのためにも相手とともに、自分自身にも関心を持つことが重要です。その出会いを通して得た生きる姿勢や考え方を生かし、自分自身の資質や能力を磨き続けてください。必ずや将来の糧につながると信じます。母校、金沢大学の卒業者、修了者、そして社会の一員としての自覚、誇りを持って成長してください。私自身、人こそ宝、財産であると考えています。皆さんはまさに社会の財産です。皆さんが人間力を磨き続け、人として大きく成長し、国内外のリーダーとして活躍することを心より期待します。
第二は、「挑戦し続ける」ことです。
皆さんが活躍する実社会では、正解や模範解答は用意されていません。正解もひとつとは限りません。課題を見出し、最適解を考え、課題を克服していくのは皆さん自身です。
皆さんが学んだ金沢大学は総合大学です。総合大学ならではの様々な考え方をもつ学生、教員との出会いがあり、その素晴らしさを享受したと思います。今後も複合的な視点、広い視野、高い視座をもち、全体像を俯瞰してください。そして、小さくてもよいのでまず第一歩を踏み出すことです。まさに、着眼大局、着手小局です。現在ならびに未来の課題は、誰もが経験したことがない要素を多く含んでいます。ひとつの分野、自分の専門だけでは解決、克服できないことも多くあります。目標の達成には、多面的なアプローチや熱意ある人々や社会との良いチーム作りが必須です。金沢大学未来ビジョン『志』で示している、「未来知」が必要となるでしょう。そのうえで、失敗をも恐れずに様々な課題に果敢に挑戦し続けてください。先に述べた吉田松陰は「夢なき者に成功なし」との言葉も残しています。成功への夢、情熱を持ち続けることです。皆さんが、様々な課題に果敢に挑戦し続け、イノベーションを創出することで、国内外の社会の発展に貢献していくことを心より願っています。
第三は、「生涯にわたり学び続けること」です。たゆまぬ自己鍛錬を継続することです。
詩人であるサムエル?ウルマンに「青春」の詩があります。このなかで、青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言う。理想を失う時に初めて老いると記されています。生涯にわたる新たな学びが本日から始まります。希望を胸に、将来の大きな目標にむかって、ぜひたゆまぬ自己鍛錬を行ってください。将来、あるべき姿を明確にし、それに対して何をなすべきか、理想をもって生涯にわたり考え、学び、未来をデザインし続けてください。齢を重ねても「自分と未来は変えられる」と私は信じています。
改めまして、皆さんには人との出会いを大切にし、生涯にわたり幸せな人生に恵まれ、実りある素晴らしい日々を過ごしてほしいと思います。「志」を立て、生涯において挑戦し、学び続けてください。皆さんが「金沢大学ブランド人材」として、国内外の舞台で飛躍し、社会に貢献されることを強く祈念し、告辞とします。
本日は誠におめでとうございます。
令和7年3月21日
金沢大学長 和田 隆志